「さようならアメリカ」米国抜きでもTPPは進めるべき

11月21日(現地時間)にトランプ・次期アメリカ大統領が、「TPP(Trans-Pacific Partnership・環太平洋戦略的経済連携協定)の離脱」を宣言しました。
「何度も言っているじゃないか」「あの人はいろいろと言う人だから、もう何も驚かないわ」と思っている方、そうではありません。これまでこの発言で物議を醸してきたのは大統領選挙のキャンペーン中の事でした。しかし、当選後に改めてトランプ氏は「TPPは就任初日に離脱を(他の参加国に)通告する」と明言しました。
安倍晋三・総理はこれまで国会で”アメリカ抜きのTPPは考えられない”と発言してきました。反対野党はというと、“アメリカ抜きでは意味がない” “何でそれを批准する必要がある?”と発言してきました。
アメリカの参加がなくなるとTPPは意味のないものになるのでしょうか。「ハイ、さようなら!」と終わりが確定したように見えますが、私は「アメリカ抜きのTPPも考えるべき」と提言します。
今年の2016年2月4日に日本やアメリカを含む12か国がTPP協定に署名をしました。
※12か国:オーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,日本,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,ペルー,シンガポール,米国及びベトナム
TPPは12か国の署名が行われた日から2年後(2018年2月)までに全参加国が議会の承認など国内手続きを終えればそれから60日後に発効します。
2年以内にすべての参加国の手続が整わなかった場合には、参加国のGDP(Gross Domestic Product/国内総生産)の合計が85%以上を占める6か国以上が手続きを終えればそれから60日後に発効となります。
しかし、アメリカのGDPは約60%を占めるためアメリカ抜きではどちらの条件だとしても発効されません。
アメリカ抜きのTPPも考えるならば、この協定自体の変更が必要になり、私はその道はあると思います。
事実、各国の代表は以下のように発言しています。
ニュージーランドのジョン・キー首相「米国抜きはあり得ないシナリオではない」
オーストラリアのスティーブン・チオボー・貿易・投資大臣「米国抜きで発効させるのも一案」
ペルーのエドゥアルド・フェレイロス・貿易・観光大臣「TPPの条項変更は可能だ」
メキシコのイルデフォンソ・グアハルド・経済大臣「条項変更を検討すべき」
中田宏は信用しない!という方も、これだけのお歴々の発言を見れば「本当にあり得ることだ」と理解していただけるのではないでしょうか。
TPPは批判もあります。この重要性は、従来のモノの貿易だけではなくサービス分野や著作権なども取り決めていることにあります。この事をないがしろにしてコピー商品を作っている名目GDP2位の大国もあるわけです。
是非、アメリカ抜きのTPPについて、安倍総理にはリーダーシップを取って欲しいと思います。