1. HOME
  2. ブログ
  3. 国際政治
  4. 【やれやれ】日米「貿易」会談はタッグで延長戦に

ブログ

BLOG

国際政治

【やれやれ】日米「貿易」会談はタッグで延長戦に

安倍晋三・総理大臣の自由民主党の総裁3選後の最初の日程"ニューヨーク訪問"が終わりました。

毎年この時期にニューヨークでは国連(国際連合)総会が開かれて、各国の首脳が集まります。
そこでは演説が行われますが、アメリカのトランプ大統領は昨年は北朝鮮の金正恩氏を
「ロケットマン」
と揶揄したのに今年は
「感謝している」
と述べて、北朝鮮問題で果たしたアメリカの成果が出ているとは思えませんが、いずれにしてもまあ国連総会での演説というのは正直"言いっ放し"です。

国連総会に関してむしろ重要なのは、各国首脳が集まるのでそこで繰り広げられる首脳外交です。
20日のブログで"注目すべきは日米の貿易協議だ"と書きました。

2018/09/20「【米中、貿易戦争・第3弾発表】どこまで続く?もうそろそろ限界か?」

日米の貿易担当の大臣そして首脳間におけるFFR(貿易協議。自由(Free)、公正(Fair)、相互的(Reciprocal))の結論は"TAG"を始めるということになりました。

また新しい三文字アルファベットが出てきましたが、TAGとは日米物品貿易協定(Trade Agreement on goods.)で、このTAGを含む今回の日米共同声明の全文は日本経済新聞によると次のとおりです。

===
日米共同声明の全文

一、安倍首相とトランプ大統領は、日米間の強力かつ安定的で、互恵的な貿易・経済関係の重要性を確認した。トランプ大統領は相互的な貿易の重要性と、日本や他の国々との貿易赤字削減の重要性を強調。安倍首相は自由で公正なルールに基づく貿易の重要性を強調した。

二、さらなる具体的手段を含め、日米間の貿易・投資の拡大と世界経済の自由で公平かつ開かれた発展を実現することへの決意を再確認した。

三、両国は国内調整の後、日米物品貿易協定(TAG)と、サービスを含む他の重要分野で早期に結果が出るものについて交渉を開始する。

四、TAGの議論が完了した後、他の貿易・投資の事項についても交渉する。

五、TAGは双方の利益をめざし、交渉にあたって以下の両政府の立場を尊重する。

日本は農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること。

米国は自動車について、市場アクセスの交渉結果が自国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること。

六、第三国の非市場指向型の政策や慣行から日米両国の企業や労働者を守るための協力を強化する。世界貿易機関(WTO)改革、電子商取引の議論を促進し、知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米または日米欧三極の協力を通じて緊密に作業していく。

七、日米両国は信頼関係に基づき議論を行い、協議が行われている間、この共同声明の精神に反する行動を取らない。また、他の関税関連問題の早期解決に努める。
( https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3580647027092018EAF000/ より)

七項目がありますが、一と二で日米の立場を確認しています。
三でTAGを開始し、四でTAGの後に他を交渉するとしています。
五はTAGの留意点で、日本は農産物の関税はTPPの合意水準まで、アメリカは自動車産業を守り雇用さらに増やすということです。
最後の七で、協議中は一方的な措置を取らない、すなわち自動車への関税を引き上げないとしています。

安倍総理は会談後の単独記者会見で次のように述べました。
「日本から米国に輸出される自動車は174万台ですが、トヨタやホンダといった日本企業がアメリカ国内で生産している自動車はその2倍以上、377万台に上ります。
自動車工場、部品工場、運送サービス、ディーラーなど150万人もの雇用をアメリカ国内に生み出すことでアメリカ経済に多大な貢献をしています。」

安倍総理はこれから日本の自動車メーカーにアメリカでの現地生産をもっと増やすよう促してTAGの合意に結びつけようと考えているでしょう。

今回は「協議しましょう」という合意でした。
これから本当に合意に至るのか、それともアメリカが一方的に関税を発動して、日本経済に大打撃を与えるのか。

行方は延長戦になりました。


 

「YouTube」ボタンからチャンネル登録をよろしくお願いします!

関連記事