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【今度は青森に!】中国船を「当たり前の風景」にしてはいけない

7月17日、日本の海上保安庁に当たる中国の海警局公船2隻が青森県沖の日本の領海に侵入しました。

午前8時過ぎに2隻が領海に入り、海上保安庁が退去を呼び掛けましたが1時間半に渡って居座りました。
その後、一旦は領海を出たものの2時間後の午前11時45分頃に再度侵入して今度は3時間半も居座り、その後、領海を出ました。
ちなみにこの2隻は15日に長崎県の対馬沖、福岡県の沖ノ島沖の領海に侵入したものと同じ船です。

ただでさえ不愉快なニュースですが、7月17日だったところに嫌らしさを感じますしまた怒りも込み上げます。
7月17日は海の日、すなわち明治天皇が巡幸を終えられて横浜港に船で戻ってきたことを記念する海洋国家、日本の祝日に中国は侵入してきたのです。

法的には国際海洋法条約において領海内は無害通航ならば認められ、何かを採取したり測量してはダメですが「無害で通行するだけ」であれば構いません。
また平成20(2008)年に制定した国内法「領海等における外国船舶の航行に関する法律(領海外国船舶航行法)」では徘徊などは取り締まりの対象ですがそれ以外の無害通航や緊急時の航行は許可しています。
ちなみにこの法律ができるまでは漁業法で漁船には強制的に、海上保安庁法で任意に臨検=中に入って調査することはできましたが、いずれにせよ十分に適応できていなかったために制定されました。

とはいえ取り締まって中国船や中国政府に侵入の目的を聞いたところで答えるはずはありません。
今回の動きは南シナ海における日米の方針への中国の対抗措置と考えています。
中国は南シナ海で長年の現状を破って島の埋め立てを続け、その近辺を全て自分たちの領海だと主張しています。
これに対してアメリカはオバマ政権時の2015年10月から”航行の自由作戦”と称してアメリカの軍艦の無害通航を計4回行い、中国が勝手に領海だと主張しているだけで通常は公海と認識されているエリアですから日本政府も支持しています。
ただ、トランプ政権も5月にはじめて行いましたが、オバマ政権のように今後も継続するかはわかりません。

今回は、中国の屁理屈では「中国の領海にアメリカは勝手に入り、日本も支持しているのだから中国も日本の領海に入ってやる」ということなのかもしれませんが、同時に日本の領海に頻繁に入る状態の癖を日中間に作ろうとしているようにも見えます。

中国の公船が我が国の領海を徘徊すれば、領海外国船舶航行法で強制的に立入検査などを行えるわけですが「日本は何も出来ないし、やらない」と見透かされれば、今後このようなことを繰り返して常態化していくでしょう。
仮にいずれかの機会に取り締まれば「何で今回は取り締まった?」となりますし、尖閣諸島と同様で、頻繁に経済水域や領海への侵入を10年、20年、30年と続けていけば「中国が毎日のように入るのは当たり前の風景じゃないか」と主張できるようになるわけです。

このような事態が起きた時に普通の国であれば対抗措置を取ります。
今回の場合であれば日本の海上保安庁が中国の領海に侵入するということになりますが、日本は自衛隊法などを含めそんなことは無理だからやらないとなれば他の分野で対抗措置・制裁措置を取るしかありません。
それすら無理なのであれば、次回以降の対抗措置や制裁措置の留保はせめてきちんと行わなければなりません。

日本政府には様々な対抗カードを用意する知恵は幾らでもあるでしょう。
なにがしかの対抗措置を常に発動できるようにしておかなければ、中国の領海侵入が常態化してとんでもないことになってしまいます。
中国はこの1〜2年ではなく、10年、20年とやり続けようとしています。

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