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最低賃金引き上げは実は重要だった

この10月1日から順次、各都道府県の最低賃金が引き上げられました。
全国平均では、これまでの874円から27円引き上げられて901円になりました。

最低賃金は地域によって差があり、最も低いのは青森県や秋田県、大分県や鹿児島県などの15県で790円、そして最も高いのは東京都の1013円、次いで神奈川県で1011円です。最高額と最低額の差は223円になっています。

最低賃金は平成15年度以来17年連続で上昇しています。10年前の平成21年度は713円だったのが、今年は901円ですから10年間でなんと198円、さらにここ近年の上昇率は3%の最低賃金の賃上げです。働いてる人にとっては嬉しいことですが、最低賃金の引き上げに批判的な意見もあります。

まず「ますます、都会に人が集まってしまうではないか!」という批判、いわゆる一極集中についてです。
この批判、現実はどうなっているのかと言うと、最低賃金だけが要因かどうかわかりませんが、事実その傾向にあります。
北海道だったら札幌に、九州だったら福岡に、さらに日本全体で見てみると、関西圏、中部圏、そして首都圏になっています。さらに言うならば関西圏、中部圏のどこよりも東京が格段に伸びていて、東京に人が集中している状況です。

もう一つは、「企業経営にとって厳しい」という批判です。
「人件費が上がっても、物やサービスの値段を上げられないから経営を圧迫する」「人を育てる時間が取れないから採用をを躊躇する」といった意見です。
これらの現実は、最低賃金法が改正された(平成19年)その翌年、平成20年の倒産件数(1万5646件)をピークとして、平成30年(8235件)まで、どんどん減り続けていますので、この批判はあたっていないという事になります。

「日本は最低賃金を引き上げるべきだ」と強く主張している人の1人に、デービッド・アトキンソン氏がいます。彼はイギリス出身で、「イギリスでは20年間、最低賃金を上げ続けてきたけれども、倒産は増えていない。むしろ、生産性が上がっている」と言っているんです。

昨年7月に私がデービッド氏と食事をしながら色々伺った時、彼は「給与水準全体を上げるのではなく、最低賃金を上げる」とこだわっていました。例えば、「年収800万円の人が10万円上がっても増加分を消費に回すかどうかわからない。しかし、年収200万円の人が10万円上がればこの増加分は消費に使う」ということです。国民全体の給与を上げるよりも、低所得者の水準を引き上げることが経済にとっては重要だといいます。最低賃金が影響するのは低所得者の人たちですから、低所得者の人たちを手厚くすることが経済全体にとっては重要だということなんですね。

私は一通り話を聞いた後に、最低賃金引き上げの副作用についても伺いましたが、デービッド氏は「それはない」と言い切っていました。ただ、この点に関して私は、地域や業種にもよると思います。

経営と経済は別で、経済全体においては「プラス」と安倍政権を見ていることでしょう。

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