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2020年の次は2030年がやってくる

JR東日本・西日本が来週のダイヤ改正で終電の繰り上げを発表しました。
JR東日本の場合、東京駅を中心としたおおむね100km圏内を走る17路線で、終電時刻を早めるということで、例えば山手線なら20分ほど総武線や東海道線なども約30分ほど終電が早くなります。また、JRだけでなく首都圏や関西圏の私鉄も同様に終電繰り上げを検討しているということです。

実際、鉄道各社の乗客数が減っています。8月の山手線午前0時台の利用者は前年同月比で66%減となっており、当然コロナが影響しています。しかし、実はコロナ前から深夜の乗客数の減少は始まっていました。民間企業がワークライフバランスを整えるということで残業をなるべく減らすということもあったり、人手不足でそれなりの勤務体系じゃないとなかなか人手が集まらないこともあり、さらにここ数年は政府の働き方改革もあり、減少傾向にありました。

例えばJR西日本によれば、大阪、京都、三宮という関西を代表する三つの駅の午前0時台の乗客数を見てみると、昨年と6年前の平成25年で比較すれば、なんと15%も減っています。遅い時間の乗客数が減ったということであれば、本数を減らせばいいじゃないかと思うのですが、実は終電を繰り上げることにはもう一つ理由があります。

それは鉄道会社が保守点検の時間を確保したいという思いです。従来の線路や架線だけではなくて、ホームドアや省略化のための機器を導入した自動改札機など、点検箇所や点検にかかる時間が増えているんです。当然、点検作業は電車が動いていない深夜時間帯になり、勤務体系も不規則になってしまうことから、人手不足が常態化しているそうです。JR東日本の場合は、作業員が過去10年間で2割減った一方で作業量は1割増え、今後も作業員が1~2割減少すると見込んでいるそうです。

さてこのニュースを聞いて私は、「10年後の悪夢が突然現実に」 JR西日本社長が語る巨額赤字・終電繰り上げ・3密防止システム(AERA dot. 10/22配信記事)を読みました。そこにあったJR西日本の長谷川一明社長のインタビューを読んだんですが非常に興味深かったです。記事によると、今年4月以降、新型コロナウイルスの影響で新幹線は前年比7割減、京阪神圏の近距離の乗客は3~4割減、定期券利用のお客様が2割減となりました。ただ今後、すなわちコロナが終息した後も、以前と同様には戻らないと見ているんですね。これは、はっきり言って私もそう思います。長谷川社長は良くて9割の回復と見ているんそうですが、これまではJR西日本の営業利益率が12%だったので、1割乗客が減ると利益が出ない会社になってしまうということです。そして非常に興味深いのは、少子高齢化と人口減少で乗客数が減っていくことをトレンドとして覚悟していたそうですが、それは10年後を想定していたということなんです。ところがさっき言った、コロナ前には戻らないということを長谷川社長は、『10年後に想定していた「あまり来てほしくない未来」が突然現れたという状況で、「2020年の翌年が2030年だった」』と表現していました。
以前、私もコロナは時代を一気に加速させると言いましたけれども、まさにこれが表れているわけで、鉄道経営における懸案が一気に来たということです。当然、技術や仕組み、運営方法をもって対応せざるを得ません。

終電が早まれば、会社やサラリーマンの働き方も変わり、飲食店などの営業時間も変わるなど、様々な連鎖が出てくるでしょう。私も学生時代それから国会議員時代は電車で通っており、終点の時間は常に頭に入っていました。確か、学生時代は渋谷で飲んでいても0時25分の終電に乗れば実家のある横浜市青葉区の青葉台駅に午前1時に着いてと思います。当時はすごい混みようでラッシュアワーのような状況でした。さらに、駅に着いてドアが開くたびにみんなタクシーめがけて走り出します。一度、最寄り駅まで行く終電に乗り遅れて、6駅前の駅鷺沼行きのまでの終電に乗るハメになったことがあります。学生時代でお金もないので、徒歩で帰りましたが、家に着いてのは確か明け方の5時ぐらいですっかり空が白んでいたのを覚えています。

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