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金利がつかない時代の影響

外貨建ての保険料の値上げが相次いでいます。

生命保険といえば、これいろんな商品があります。当然、保険という以上はどの商品も加入者からお金を集めて成り立ちます。私が冒頭に言った「保険料の値上げ」というのは、外貨建ての生命保険のことで、近年非常に人気が出ていました。なぜ人気があったのかといえば、外貨建ての方が運用メリットがあったからです。

というのも、生命保険各社は加入者から保険料を預かり、そのお金を運用して政府の支払いなどに充てていきます。ところが現在の日本では金利がほとんどない状態です。いわゆる日銀によるゼロ金利政策が取られてきたからです。だから保険料払ったとしても、日本円で預かり、日本円で運用してもほとんど金利がつかなず運用益が出ないので、外貨で預かり、その国の通貨で運用する方がメリットがあったからです。日本より金利が高い国はいくつもありますから、そうした国で運用した方が生命保険の商品としては魅力があるということです。メリットもありますが、デメリットもあります。

通貨というのは毎日の市場取引で値上がったり、値下がったりします。すなわち、円高になったり、円安になったりする為替相場の影響を受けるので、例えば死亡時に10万ドル支払われる保険に入っていた場合、10万ドルの価値はそのときの通貨で決まりますから、円高になっていれば受け取り金額は少なくなりデメリットがありますが、もちろん円安になっていれば、受取金額は日本円で多くなることもありますもで、この点はリスクと言えるでしょう。

特にこれまで人気だったのがアメリカドル建てでの保険ですが、アメリカでは金融緩和が拡大し、長期化する見込みです。その影響は何かといえば、やはり新型コロナウィルスです。コロナによって経済が悪くなったのでアメリカでは3月からゼロ金利政策がとられています。こうした金利政策を誰が決めているのかというと、日本の日銀に相当するFRB(連邦準備理事会)というアメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関です。

そのFRBが今月16日まで2日間開かれた会合で、今後2023年末までゼロ金利政策を継続するという見通しを発表しました。ですから、ドル建てでの生命保険の運用が厳しくなってきたというわけです。

そうなると、方法は二つしかありません。
一つは保険料の値上げをする。もう一つは死亡しなかった場合の返戻金を引き下げるかという、どちらかです。外資系の生命保険会社あるいは日本の生命保険会社のそれぞれは、いずれかの方法を取る、もしくは両方取って条件を見直しました。その結果、保険料の値上げが相次いでいるということです。

日銀も今月17日に金融政策決定会合という重要な会合を開き、大規模な金融緩和の維持を決定しました。これどういうことかというと、コロナ対応で企業への資金繰りを支援していくためにお金の供給を拡大したわけです。

当面は経済が良くなる見通しが立ちませんから、企業が倒産しないように、お金を借りやすくする。だから金利が低くなり、我々が預ける金利も低いということになるわけで、単にそれだけではなく、こうしたところにも波及してくるわけです。

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