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責任者は誰も本当のことを語らない

一昨日の夜に安倍総理大臣とトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長が電話会談をして、東京オリンピックの1年程度の延期が合意されました。

正直そうなるだろうなと私は思ってました。
3月17日にIOCの理事会が開かれ、バッハ会長が「予定通り」と発言していました。また、これまで何度も国会や記者会見で、総理も官房長官も小池都知事もみんな口を揃えて「予定通り」と言っていましたが、この間に延期も考えてるに違いないと私は考えてきました。バッハ会長は「まだ4ヶ月もある」と言ってましたけれども、4ヶ月あったとしても開催1週間前に中止できるわけじゃありませんよね。

すでにオリンピックの代表選考を兼ねた国際競技大会がいくつも中止になっている中で、実はオリンピック競技者1万人以上の選手のうち43%の出場者が現時点で決まっていません。そこにきて、アメリカの陸上競技連盟や水泳連盟が開催延期を求めたり、22日にはカナダのオリンピック連盟が、「もしオリンピックが今年開催された場合、カナダは選手団を派遣しない」と発言しました。IOCと各国のオリンピック委員会、あるいは競技団体の中でも温度差が広がっていたわけです。

私が延期を検討してるだろうなと確信したのは、安倍総理の「オリンピック、完全な形困難なら延期判断も」という発言です。
完全な形という言葉がみそですね。完全な形という言葉で、すなわち無観客でやることはないと私は思いました。ということは延期なんですよ。当初は、無観客もあり得ると思っていました。というのも、IOCが年間の日常経費、すなわち運営していく上で、IOCはテレビの放映権が何よりも重要なんです。特にアメリカのテレビ局ですね、なぜわざわざ酷暑の8月に開催するんだ、なぜわざわざマラソンだけを問題にもなった札幌に移したりするのか。これらは以前にもお伝えしましたが、アメリカのテレビ局の年間日程によるものです。メジャーリーグ、アイスホッケー、アメフトなどの人気スポーツが年間スケジュールで決まっている中で空いてるのが8月、アメリカのご都合で開催するわけです。

アメリカのテレビ局が大半を占めるIOCに払う放映権料は3000億円、これはIOCの年間収入の7割を占めます。これにトヨタやコカ・コーラなどの大スポンサーからの収入を含めると全体で8割を占めるわけです。これらはオリンピックを開催する経費ではなく、IOCの年間の経常経費ですから、そういう意味では、観客でも開催されるかなと考えていました。しかし、安倍総理が先手を打って完全な形と発言しました。その裏にはチケット収入もあれば、さらには日本には世界からオリンピックの観戦者が来る。そして、日本各地を観光で訪ねて行くことがなければ、オリンピックのいわば盛り上がりにならないからです。

もちろん日本のテレビ局も観光業、運輸・運送、ホテル業、飲食業もとにかく今年の7月後半から8月にかけては穴が空くし、追加の負担というのも組織委員会などで発生するから大変な決断ではあります。それでも、バッハ会長も安倍総理もその他みんなが予定通りとつい先日まで言っていたわけですね。経済のことでも言いましたけど、責任者は本当のことを言いません。

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