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緊急事態宣言という名の賭け

我が国の新型コロナウイルスの感染者数は2771人、死亡者数は73人となりました。

特に連日報じられている東京都の感染者数の推移はこうなっています。

30日は日曜日で検査数が少なかったことから人数が少ないですが、急激に増えている様子がよくわかりますね。
グラフには反映されていませんが、昨日の東京都の感染者数は97人、全国でも276人の感染が確認されました。

こういう状況ですから、緊急事態宣言の発令に関して連日報じられています。先月の30日や31日には、4月1日に総理が緊急事態宣言を発令するというようなデマもネットで見受けられました。デモはともかくとして、実際に緊急事態宣言が出るかどうかについて、安倍総理は国会でこう言っています。4月1日の国会では、「今、この時点で緊急事態宣言を出す状況ではないというふうに考えております。何よりも国民の命、健康を守ることを第一に判断していきたいと考えている」この発言から、昨日、今日の緊急事態宣言は発令されないということでしょう。

また同じく、4月1日に行われた政府の専門家会議では、感染拡大警戒地域(直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数が、その1週間前と比較して大幅な増加が確認されているが爆発的患者急増に至っていない地域)、感染確認地域(直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数が、その1週間前と比較して一定程度の増加に収まっている地域)、感染未確認地域(直近1週間に感染者が確認されていない地域)という三つの地域区分を発表しました。感染拡大警戒地域に該当するエリアには外出の自粛を求めました。そして、現時点での感染拡大警戒地域が東京都や大阪府だとして、学校の一斉休校を検討すべきとも発言しました。

総理の言葉によれば、「それでもまだ緊急事態ではない」ということになりますが、「どうも、緊急事態になっているんじゃないか?」という発言が相次いでいす。例えば3月30日に、政府の政府に対策を助言する有識者会議のメンバーが非公式の電話協議で「緊急 事態宣言が必要」という認識で一致したと報じられています。翌31日には、東京都の小池東京都知事が総理官邸を訪れ、「(新型インフルエンザ特措法の緊急事態宣言について)政府が判断すると思うが、連携して都民の安心を確保していきたい」と発言してました。おそらく官邸で総理に、緊急事態を宣言するべきだと迫ったと思われます。さらに、4月1日には日本医師会が医療危機的状況宣言というものを発表しました。これまでも医師会は緊急事態宣言を求めてもいました。国会では、野党の国民民主党の玉木雄一郎代表が「法的な根拠をもって自粛を要請しなければ、感染者の爆発的な増加を防ぐことはできない瀬戸際の状況で、特別措置法に基づく『緊急事態宣言』を行うべきだ。ただ、宣言を行えば、経済活動に一定の低迷が見込まれるので、減収を補償する方針も明確に打ち出す必要がある」とも言っています。

では、なぜ緊急事態を発令しないのでしょうか。
おそらく、私権制限についてマスコミが批判する懸念がありますが、それ以上に経済を考えているからだと思います。

仮に宣言をして様々な活動の自粛を求めることになれば、東京都だけでは意味がありません。東京都に神奈川県、千葉県、埼玉県の4都県に自粛は及ぶことになるでしょう。仮に自粛が1ヶ月続いた時の経済損失は、東京都内だけの場合で約5兆1千億円、南関東(東京・千葉・神奈川・埼玉)全域の場合には約8兆9千億円と第一生命経済研究所が試算しました。緊急事態宣言を出さずに、ギリギリ持ちこたえているという表現が政府幹部から毎日繰り返されておりますが、感染爆発になってから緊急事態宣言を出しても遅いですよね。新型コロナウイルスは指定感染症に指定されていますから、陽性と出れば無症状や軽症でも入院措置が取られます。したがって、都内に12しかない感染症指定医療機関のキャパは既にもう超えています。

さらに、安倍総理は4月1日の国会で「日本が戦後、経験したことのない国難とも言える状況だ」とも発言しています。

緊急事態宣言を発令されれば、ただでさえ権力批判しかしないメディアや、すでに厳しい状況の事業者からは相当反発が出るでしょう。それでも1〜2週間での収束はあり得ませんが、早期収束か、それとも、長引かせて甚大な経済損失になるのか。

これ賭けてる場合じゃないですが、ある意味では政府の賭けになっていますね。

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