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【IWC脱退】「ぬーけた!」ではなく、これからも向き合う

国際捕鯨委員会(IWC:International Whaling Commission)から日本が脱退するということを昨日、菅官房長官が正式に表明しました。今月中にIWCに通知をし、来年6月末をもって正式に脱退することになります。 このニュースは、日本でも世界でも大きく報じられています。

私はIWC総会に過去7回、日本政府代表団として出席し、深く関わってきました。ですから、このIWCに関しては深く知っています。今回の報道でマスメディアの誤った論調やコメンテーターの無知ぶりで皆さんが『誤解をしないようにしてもらいたい!』と、心から思っています。
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今回の脱退は極めて重大な決断で、これが吉と出るか凶と出るかは、今後の日本政府のフォローアップが重要になってきます。ただ、まず理解をしていただきたいのは、IWCがそれほどまでに機能していない、無意味な会議の場になっているということです。

IWCは1948年、アメリカ、イギリス、オランダ、オーストラリアなど当時の捕鯨国15ヶ国によって創設されました。その目的は、資源管理をしながらも鯨を有効利用していく為に創設されたと、国際捕鯨取締条約に記載されています。

創設時の捕鯨国はクジラを食しません。鯨油、すなわちさ鯨からオイルを採取し、鯨の身は処分してきました。やがて、鯨油の採取が不採算となって捕鯨から撤退をしました。

その後は、動物愛護・環境保護という名目で環境保護団体の反捕鯨活動が活発になりました。そうこうするうちに、アメリカやイギリス、オランダやオーストラリアなども反捕鯨国に転じていったわけです。

もともと鯨油を採取するために追いかけていたシロナガスクジラなどの大型鯨種は、たしかに数が減っていきました。しかし、数が潤沢な鯨種もありました。
そこに1982年、商業捕鯨を一時停止するというIWCのモラトリアム案も採択されるなどした為、それ以降は鯨の数が増え続けてきた訳です。中でもミンククジラは増えすぎています!

現在世界の海にミンククジラは80万頭近くいますが、これは100年前の実に10倍の数です。仮に、2000頭ずつ毎年採ったとしても総数が減るどころか増えていく訳です。
※詳細は(財団法人)日本鯨類研究所「クジラの調査はなぜやるの」をご確認ください。

そうした理由から、日本は資源が十分であることが確認をされている鯨種については、捕鯨を再開することを求めてきました。

現在、増えすぎたクジラと人間が魚の奪い合っているのが現状です。例えば、スケトウダラやスルメイカなどは、クジラにどんどんどんどん食べ尽くされているという状態にあり、生態系の破壊にも繋がっています。

しかし、クジラは愛玩動物であり、「捕まえる・殺すことがまかりならない」と言う宗教のようなイデオロギーをベースに、IWCで議論が行われています。

昨日、菅官房長官発言にもあったように、この30年間、日本が科学的なデータを根拠として主張してきたにも関わらず、全く受け入れられない状態が続いてきました。

資源管理をしながら持続可能なように利用していこうという日本を含む国々は41ヶ国、絶対に捕鯨を認めない国々が48ヶ国あります。これらの数字から見ても、日本がIWC内で孤立したわけではないことはお分かりいただけると思います。
※詳細は水産庁 平成30年11月「捕鯨をめぐる情勢」をご確認ください。

この様なことから、科学的根拠を明らかにした上で、議論する日本にはむしろ尊敬の念すら寄せられています。

昨日正午には、自民党の捕鯨議員連盟の総会が開かれ、総会出席者から今後の話を聞いたところ、IWCには引き続き方向の転換を迫りながら、アプローチを継続していくことや、日本への賛同国ともよく連携を図っていくそうです。
こうしたフォローアップが今後、とても重要になってくると思います。

※鯨油とは・・・クジラ類の肉や骨から得られる油。これらを煮たり炒ったりして採取する。マーガリン,石鹸,硬化油,製革油などとして用いるが,魚油より保存性が高い。おもにマッコウクジラ,ナガスクジラ,イワシクジラなどから採取する。 ブリタニカ国際大百科事典より

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