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【知っトク解説】今回は”一国二制度”

1984年にイギリスと、1981年にポルトガルと中華人民共和国が締結した共同声明に基づく制度です。
イギリスからは香港が、ポルトガルからはマカオが中国に返還され、それぞれに一国二制度が適用されることになりました。

中国とイギリス、中国とポルトガルの共同声明は署名後に、それぞれの国で批准され、国際連合事務局で登録して発行するというプロセスを経たので、国際条約として認識されています。
治権は中国にあり、特別行政区として50年にわたって高度な自治や資本主義の存続を認めるというもので、国としては一国でありながら中国の社会主義とは別の資本主義制度を認めるという意味で、二制度といいます。

元々は1981年に中国が台湾に提案した考え方が原型になっています。

一国二制度の具体的内容は、香港とマカオの憲法ともいわれる特別行政区基本法に書いてあります。
例えば、香港基本法第1条では、領土が中国であること、第45条では、特区である行政長官などは中国政府が任命することが明記されています。また第27条では、言論行動、出版の自由やデモなどの権利が明記され、第68条では、行政長官や国会にあたる立法会議員を、民主主義国家のように有権者1人一票の普通選挙で選出することを目標とすることが明記されています。また第5条には、こうしたことを50年間変更しないことが明記されています。

しかし、1997年の香港返還後、普通選挙が行われないことなど、民主化を求める運動がたびたび展開され、そのたびに中国政府が規制を強化したり、運動の弾圧が繰り返されてきました。
中国本土は現在でも、インターネット上の言論を政府が検閲して、政府や共産党への批判などに当たる記事は削除されて見ることができません。一方の香港では、これまで自由に発言したり、記事を見たりすることができましたが、2020年6月には香港市民が反対する中で、中国は日本国家安全維持法を作りました。
これによって、これまでの自由や権利が取り締まりの対象となることが予想され、一国二制度は事実上骨抜きになる懸念が強まっています。

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