07/09/19UP

「ヤング・グローバル・リーダー年次サミットin中国・大連」出席
 9月4日から中国・大連で開かれた「ヤンググローバルリーダー(YGL)2007年次総会」と「夏のダボス会議」に参加しました。
 YGLは、世界のトップリーダーが一堂に会するダボス会議を主催するスイスの民間経済研究機関「世界経済フォーラム(WEF)」が世界各国から選出した若手リーダーの集まりです。
 2009 年までに1,111 人が選出される予定となっており、私は2005年に選出されました。

 今回、衆議院議員の浅尾慶一郎氏、古川元久氏らとともに参加し、求められるリーダーシップや地球温暖化等環境問題などについて、各国の参加者と意見交換を行ってきました。
 この「夏のダボス会議」は今回始めての開催されました。来年は天津開催が決定済みですが、2009年には是非日本、開港150周年を迎える、この横浜で開催したいという思いをを強くしました。
 世界経済の中で、アジア特に中国やインドの躍進は際立っています。そのアジア情勢の中で日本がリーダーシップを発揮していくためにも、このような会議を誘致することが重要だと考えてえます。
 現在、先進国では生活習慣病を引き起こす肥満が蔓延し、社会問題となっています。一方、発展途上国では飢餓や栄養不足に苦しむ人々が大勢います。
 私たち日本のヤンググローバルリーダーの有志で、この問題の解決に向けて始めたのが、「テーブル・フォー・ツー」プロジェクトです。
 先進国の社員食堂等でカロリーや栄養バランスに配慮した食事を提供し、その売り上げの一部(約20円)を途上国の学校給食1食分として寄付する、プロジェクトです。
 先進国の私たちが1食を食べる時に、途上国の誰かに1食を贈ることができる、つまり2人で食べていることになり、「テーブル・フォー・ツー」と名づけられました。
 横浜市庁舎の食堂で6月から開始するほか伊藤忠商事などで先行的に始めていましたが、8月に開かれた「夏のダボス会議」を機に本格展開が決まりました。

 既に、全日本空輸、日本航空、富士通など、日本企業を中心に30を越える企業・機関が参加表明をしています。この社員の健康管理が社会貢献にもつながる新しい形が、欧米企業などの参加を得ることにより、「日本発の社会貢献活動」として、世界に支援の輪が広がるよう更に活動していきます。

「時代認識と価値判断ができないリーダーはいらない」
横浜市長 中田 宏
 2007年9月「ヤング・グローバル・リーダー年次サミットin中国・大連」に出席し、「時代認識と価値判断ができないリーダーはいらない」と題して英文のメッセージを発信しました。
  (日本語原稿を掲載いたします。)
<横浜市のごみが激減した!>
 横浜市ではごみの総量を36%削減しました。これだけのごみ減量の成功は日本で初めてのことです。
 私は市長に就任してから「garbage」を30%減量するプロジェクト「G30」に取り組み、その成果が出ました。
 横浜市は人口360万人、日本で最大の市であり、現在も大規模マンションが続々と建設され、人口は増えています。
 快適で便利な生活に慣れた人々が暮らす大都市では、ごみは増えていく一方であり、10%減らすことすら不可能と言われていました。以前の横浜市では、ごみを分別しないで捨てることができました。生ごみもビンや缶も、紙や衣類、フライパンまでも、燃えるものも燃えないものも同じ袋に入れて収集所に出すというルールでした。横浜市には高性能の焼却炉があり、何でも一緒に高温で焼却処理できるからということが、分別しない理由のひとつでもありました。私は市長に就任する前から横浜市民の一人として、このことに違和感を覚え、ごみ問題を自分自身の研究テーマに据えて他の自治体のごみ処理現場で作業を経験して研究してきました。

<横浜市長としての決断>
 私は国会議員を9年間務めた後に、2002年4月に横浜市長に就任しましたが、山積する課題の中でも、まずごみ減量に取り組まなければならないと考えました。それは他の自治体のように、焼却灰を埋める処分場が不足しているという理由からではありません。大量生産・大量消費のライフスタイルに対して問題を提起し、良い地球環境を次世代に残すための行動として取り組むことが、今求められている価値だと考えたからです。現在も地球規模で温暖化が進行し、生態系の変化や森林破壊など様々な問題が生じていますが、ごみ問題は私たちの生活そのものの出口の問題であるとともに、地球環境を考えるときには入口の問題になるのです。特に都市部におけるライフスタイルは地球環境問題に広く起因していると考えます。もし、全世界で都市化が進み、地球全体が快適な都市型生活を追及したら、地球環境問題はさらに深刻化するでしょう。だからこそ、世界の人口の約半数が生活している都市部でのライフスタイルを見直すことが必要で、都市部である横浜から行動を起こすことに意味があると考えるのです。
 横浜市役所内での議論が始まりましたが、職員の誰もが「30%のごみ減量なんて無理」と言いました。当時、横浜市役所には約33,000人の職員がいましたが、(現在は職員数を削減し約27,000人)全員を敵に回したような状況だったと言えます。それでも、最終的に2003年1月に「G30」計画を発表しました。「G30」計画とは、ごみを徹底的に分別し、可能な限りごみをリサイクルすることにより、2010年のごみ排出量を2001年に比べて30%減らすというものです。
 市民からすれば、これからは15種類にもごみを分けなければならない、ということで多くの抵抗もありました。税金を払っているのに行政サービスが後退するわけです。それでも、「なぜやるか」「どのようにやるか」「結果はどうなるか」ということを私が先頭に立って職員と一緒に丁寧に説明して回った結果、2006年4月から2007年3月までの1年間のごみ排出量が、2001年に比して35.9%減にもなったのです。

<リーダーとは>
 ごみの減量に取り組まなくても、誰も文句を言わなかったでしょう。職員はごみ減量が不可能な理由を数多く挙げ「できるはずがない」と言い、市民は「どうしてこんなことをしなければならないのか」と文句を言いました。
 これまで価値があるとされていたのは、大量生産大量消費のライフスタイル、衛生的な焼却処分、無分別の利便性であり、これらに応じたごみ処理のシステムがありました。そのシステムは、市民にとっては便利で、信頼性があり、馴染みのあるものとして機能していました。
 既存の価値とその価値に基づいた社会システムを転換することは、大変な労力と意志が必要で、大抵の人は躊躇します。だからこそ、そこにリーダーの存在意義があるのです。
 確かな時代認識のうえで将来を見据え、既存の価値を転換すべきときには決意し、システムの再構築に挑戦することこそが、リーダーの役割であると思います。
 私には日本を代表する大都市・横浜市で、ごみ問題に象徴される都市型の価値観と社会システムを転換するという信念があったからこそ、「G30」に取り組む決意をしました。「G30」は当初、誰もが不可能と思っていましたが、市民が参加できる新しい仕組みを作り、職員が地道な説明を行ってきた結果、市民の価値観は変化し、目標を上回る実績を挙げることに結びつきました。この実践の過程で、転換した市民の価値観は、次の環境行動へと発展していくことになるでしょう。
 既存の法律やルールなどの社会システムは、目の前にある。それに対し、新しいシステムは想像の中にある。見えないものを説明し、想像力をかき立たせ、人々を納得させることは容易ではありません。普通の人たちは今見えているものに価値を置くことの方が容易だからです。
 しかし、必要な価値を見出したときには、その価値を肯定し、実現のために判断をする。そうした価値判断をすることこそがリーダーの役割であると考えます。
 私は、「このままで本当にいいのか」「どうあるべきか」と問い続け、市民の生活に責任を持つ政治家として、価値判断を示し続けていきます。

 この2007年YGLサミットでは、想像力豊かな同世代のリーダーと語り合い、これからの世界に必要な価値とは何かを見出していきたいと願っています。

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