中田 宏が日々感じていることやこの日本をどのようにしたいかなどを、さまざまな切り口で書き綴る、ボリューム満載の公式ブログです。


集団的自衛権行使の政府見解に対する私の見解~政府にはより一層の説明が求められる(2014年07月25日)

20140714_山田宏議員_パネル

 7月1日、政府は集団的自衛権の行使を限定容認することを決定しました。  

 安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を認める憲法解釈に踏み切った最大の理由は、日本を取り巻く安全保障環境の変化への対応ということです。断続的にミサイルを発射する北朝鮮や尖閣諸島周辺の領海侵犯、領空侵犯を繰り返す中国など、従来の我が国の安保体制ではアジアの秩序を保ちきれなくなっている現実があるからです。そもそも、集団的自衛権について「権利はあるが行使できない」という政府見解は意味不明でしたが、それは、半世紀前の安全保障環境と国内世論に配慮した当時の自民党政権の“その場しのぎ主義”だったと言えます。すべての国連条約締結国には、国連憲章第51条に明記されている個別自衛権と集団的自衛権は共に認められています。

 これまでは、世界の中で米軍が圧倒的な力を持ち、日本はその傘の下で守られてきました。
 しかしながら、中国の軍事費がここ10年間で4倍にもなり、その軍事力が飛躍的に増強されてアジア全体の緊張を高めています。当然、紛争の抑止力となってきた米国の軍事力は相対的に弱まっています。それでも、この地域における紛争抑止のために米国の存在は不可欠であり、米国といかに協力関係を深化させていくかが重要で、その意味で集団的自衛権の行使容認が議論されてきました。

 一部の報道では、「日本の若者が戦争に駆り出される」「海外での戦争に日本が巻き込まれかねない」等のおどろおどろしい極端な論調も見られます。安倍首相は「万全な備えをすること自体が日本に戦争を仕掛けようとするたくらみをくじく大きな力を持っている。この度の閣議決定で日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく」と述べていました。当然、近隣諸国との対立は外交努力で解決しなければなりません。外交努力の裏付けとして価値を共有する国々(米国など)との協力強化が必要なのであり、私は安倍首相の述べたことに賛同します。

 ところで、永世中立国として知られるスイスは、隣の国同士が戦争をするヨーロッパにおいて約200年間、戦争をしていません。第一次世界大戦にも第二次世界大戦にも参戦していません。それは、「我々は中立だ」とことさらに主張しているからそうだったのではなく、「我々に手を出したら、徹底的に戦う」という国防体制を整えているからです。例えば、スイスの男子は徴兵制度により20歳から30歳の間に4ヶ月間の兵役の義務があり(女子は任意)、また、国民皆兵制を国防戦略の基本に据え、有事の際にはスイスの男子全員が戦うことが法で定められています。日本では国民508人当たり自衛隊員は一人ですが、スイスでは37人に一人が軍人ですから、実に人口比で日本の13倍もの国民がスイスの国防に従事していることになります。すなわち、スイスは自分たちの国防力(個別自衛力)を徹底的に高めることにより、他国に対し抑止力を発揮しているのです。
日本自身の国防力をそこまで高めるとなれば、国際関係、国内世論、財政などの面で難しく、例えば米国や豪州など価値観を共有する国々と協力していくことが抑止力になります。特に、米国を念頭に集団的自衛権を行使できるようにして、日米安保を深化させていくことはその一環です。

 私は、その責任を自覚する国会議員として、与野党の別を越えて今回の閣議決定に賛成します。次世代の党としても、日本維新の会が4月16日に決定した「集団的自衛権限定容認」の6条件を引き継いでいます。
①「わが国と密接な関係にある国に対する急迫不正の侵害」があること
②それが「わが国の平和と安全に重大な影響を与える」事態であること
③侵害を排除するために他の適当な手段がないこと
④合理的に必要な範囲の実力行使であること
⑤「①の要件を満たした国」からの支援の要請があること
⑥原則として国会の事前承認を要すること
 というものです。
我々は、政府に先んじて以上の条件を決定していましたが、今回の閣議決定は、ほぼこれと同じ内容でした。

 内閣支持率低下の影響か、政府・与党は集団的自衛権関連法案の立法化は、来年の通常国会に持ち越す方針です。関連法案が成立しないと、今回の閣議決定は政府の単なる“意見表明”にしか過ぎなくなります。現在の我が国周辺の国際情勢を考えるならば、なるべく早く法制化して日本の安全保障体制を改善する必要があります。平和大合唱の根っからの平和主義者の反対論から、情報不足でまだ理解に至っていない人、上述のような報道による誤解をしている人など、まだまだ多い“賛成ではない”方々が世論調査の結果に表れています。したがって、政府には、国民に正しい理解が広がるように、より一層の説明を尽くしていくことが求められます。
 私も、我が国の平和と安全に責任を有する国会議員という立場から、その世論に迎合するのではなく、しっかり説明して理解を得ていくように努めたいと思っています。


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