中田 宏が日々感じていることやこの日本をどのようにしたいかなどを、さまざまな切り口で書き綴る、ボリューム満載の公式ブログです。


地域創世は価値観の多様化から(2014年06月30日)

20140630

日本は国土の70%近くが森林です。残りの地域に人口1億2700万人が住まなければいけないという事情が、「均衡ある国土開発」を可能にしてきたともいえます。戦後の経済成長期には、「都市で稼いだお金で地方を開発する」という循環もあり、いわば地域間の所得再分配ともいえる社会システムができあがりました。

しかし、少子高齢化や東京一極集中などによって、大きな曲がり角に直面しています。
過日、有識者らでつくる政策発信組織「日本創世会議」の人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也元総務相)が試算結果を発表しました。今後、国内の人口がどのように推移するかを試算したものです。
昨年まとめられた国の将来推計人口データを基に、最近の都市間の人口移動を加味して2040年の20〜30代の女性の数を推定し、2010年と比較して若年女性が半分以下に減る自治体、いわゆる「消滅可能性都市」は全国の49.8%にあたる896市町村に上ることがわかりました。
都道府県別に見ると、消滅可能性都市の割合が最も高かったのは秋田県(96.0%)、青森県(87.5%)、島根県(84.2%)、岩手県(81.8%)と東北や山陰地方に多く、最も少ない部類に入る30%未満は東京、神奈川、愛知、大阪、栃木、滋賀の6都県しかありませんでした。東京といえども全域が安泰ではなく、豊島区も消滅可能性都市にあげられています。

これは何を意味するのでしょうか。
このままの状態が続けば、消滅可能性都市に住む人たちは生きるために職を求めて他の都市部へ移動しなければならない、つまり、さらなる人口移動が加速され、日本のあちこちにゴーストタウンが出現するということです。人が住まなくなれば警察の目が届かなくなるので治安は悪化するでしょう。国内外からの住所不定者や不法滞在者らの巣窟になる可能性も否定できません。
これまで、日本は長い歴史において「安心して住める社会」が自慢でした。それは政治的リーダーも市井の人々も共に目指してきた社会でした。しかし、それも風前の灯だという事実認識をしなければなりません。

事態を打開するため、安倍晋三首相は自らを本部長とする「地方創生本部」を政府に設けると表明しました。都市と地方の交流やさまざまな町おこしの支援に、省庁を横断して取り組む狙いだということです。
一方で、もはやすべての地域を助けることはできないと明言する政治家もいます。

私は、わが国の長い歴史を継いできた地域をゴースト化させることは、あってはならないと思っています。しかし、ただ金をばらまくことによってその流れを食い止めようという従来型の発想では、根本的な解決にはならないとも思います。そもそも、国にばらまく金が潤沢にあれば、地方から人は流失していません。
幸いに、地方を拠点とし、独自の方法で活路を見出している若者が少しずつ増えています。そういった動きを加速させるためにも、やる気とアイデアと努力が活きる統治機構にしていくことが求められます。大きくは国から地方への分権であり、地方の政策実現を可能にする財源の支援です。より具体的に言うならば、権限のほとんどを国から道州に移す道州制を実現し、道州地方政府によって基礎地自体を支援していく形です。

結局のところ、それぞれの地域の活性化には、地域独自の視点が欠かせません。消滅可能性がある地域に住む若者にしたも、好んで都市部に出ていきたい人ばかりではないでしょう。それぞれの地域が多様化することで、若者を地方に促す余地が残されているともいえます。
歯を食いしばって「何で食べていくのか」という根っこを作った地域こそが、一過性ではない魅力と経済力を有していくことができます。


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