中田ひろしの以心電心(伝心)
『孫正義氏からの意見聴取』

2001年 3月 9日 金曜日 19:38 「憲法調査会で」

8日、憲法調査会が開かれました。参考人として、意見を述べたのはソフトバンク社長の孫正義氏でした。孫氏の意見は荒削りの部分もあるものの、その趣旨については、私は大いに共鳴できるものばかりでした。
孫氏の話は大きくは2つに分けられ、前半は今後の我が国にとって欠くことのできないIT論、後半はIT論も前提にした憲法提言というものでした。
まずIT論ですが、現在の我が国の高速情報通信網の利用者が20万人であるのに対し、韓国では既に450万人であることを指摘し、我が国は世界の中でということのみならず、アジア内においてもこの分野における後発組に位置しており、国家間のデジタルデバイド(情報格差)という点で、日本は遅れているしまっているということを発言しました。これについては、私も昨年逓信委員会での発言で国策としてブロードバンド(高速情報通信網と同義)を普及させるべきと主張し、ようやく政府はこれに取組んでいます。
孫氏は、これからのIT社会を前提に、憲法中の基本的人権としての「情報アクセス権」「プライバシー保護権」を盛り込むべきだとし、また、サイバーテロなどに対する情報セキュリティの面での厳罰化も主張しました。
孫氏の今日の意見の中で、私が最も「我が意を得たり」と思ったのは、孫氏の言う「大統領制」の導入でした。現代の日本社会にあって、多くの国民が政治に対して「どうせ投票したって」という気持ちから投票にすら行かないと言い、そのことはリーダーを直接選べないことに起因しているというものです。孫氏は天皇制の否定ではないということで、ここで言う大統領制というのは、意味的には私が主張している首相公選制と同じようです。更に孫氏は投票を義務化することにまで言及しました。「投票に行かない人は運転免許やパスポートを取れないようにしてもよいのではないかと思うが、それでは厳しすぎるかもしれないので、免許やパスポートの有効期間を投票に行った人よりも短くしたら良いのではないか」と言います。
要するに、孫氏は、政治にもっと効果的に参加したいということと参加するのは国民の義務であるということの2つを言っているわけですが、それはこの日孫氏が披瀝した自らのバックグランドがあるからです。孫氏のルーツは中国大陸にあり、孫氏自身は在日韓国人の息子として日本で生まれ育ってきたということです。孫氏は7年前に、自分の意思で帰化申請し日本人になったのです。だからこそ孫氏は国のあり方、国民の意識ということについて厳しい権利と義務を意識しているのだと感じさせられます。
「国民としての義務も果たさず、国の世話になんかなってないなどと思いこんでいるから成人式で若いものが暴れる」とし、国があってこそ我々が生きているというのは現実だと言いました。
こうしたことは、私のような立場の者が言うには、はばかられるところがありますが私は基本的に賛同します。権利だけを主張し、またその権利をも粗末にしている多くの人に対して、「一昔前は全員が投票できなかった時代だってあった」という孫氏の言葉は重たいものがあると思います。

衆議院議員、中田ひろし